- 教員の過労死ってどれくらい起きているの?
- 自分は教員として過労死せずやっていけるか
- 心配実際の現場の実態が知りたい
こんにちは、秋山です。
僕は公立中で11年間勤務していました。
しかし、ブラックな環境に耐えられず転職を決意。
2020年に私立へ転職し、以来2年間ほぼ毎日定時退勤を実現しています。
やっと大切な家族と過ごす時間が生まれたんですよね。
一方で、仕事に命を燃やしつくし、過労死にいたった先生もたくさんいらっしゃいます。
この記事で、あなたが過労死するリスクを1%でも減らせるなら嬉しいです。
なお、記事のデータはすべて以下に基づいています。
平成 29 年度地方公務員の過労死等に係る労働・社会分野に関する調査研究事業(教職員等に関する分析)
教員の過労死は5年間で28件もある
平成22年1月から平成27年3月までの調査において、いわゆる労災に認定された件数です。
イメージしやすくすると
- 1年で6人が死ぬ業界
これが教員の現実ですね。
教員の過労死の特徴を解説
調査からわかった特徴は、以下のとおり。
- 中学校の男性教員は脳・心臓疾患になりやすい
- 精神疾患は男女や年齢に関係なくなりやすい
- 精神疾患の原因は、保護者対応が多い
中学校男性教員は脳・心臓に注意
脳・心臓の疾患で労災となったのは、83%が男性です。
発生した校種は中学校が43%、小学校が26%です。
中学校で働く男性は、35歳を過ぎたら働き方を選ばなくてはダメかと。
うつ病は男女関係なく注意!
精神疾患で労災と認められたのは5年間で28件(死亡8件)で、男女比は次のとおり。
- 男性・・・46.4%
- 女性・・・53.6%
ほぼ半々ですね。
うつ病は若い教員だけではない
若い教員だけでなく、ある程度経験をつんだベテランも精神を病んでいます。
精神疾患が発生した年代は以下のとおり。
確かにベテランでも学級崩壊が起きますし、そうなると悩みますよね。
僕が小学校のときに学級崩壊が起きましたが、そのときの担任は50代女性でしたね。
うつ病の原因は保護者
精神疾患の原因は、小中ともに60%以上が保護者との関係によるものです。
- 小学校・・・63.6%
- 中学校・・・60.0%
管理職が助けてくれないパターンも
さらにきついのが、保護者と管理職両方に責められるパターン。
長時間労働は数字に出やすいし、責めやすい。
でも実は、保護者と管理職のコンボが心を壊すんですよね。
過労死した教員の時間外労働の割合
過労死ラインは時間外労働が月80時間以上と言われています。
脳・心臓疾患を発症した教員がどのくらい時間外労働をしていたかは、次の通り
- 発症1ヶ月前・・・平均98.4時間
- 発症2ヶ月前・・・平均85.7時間
1ヶ月20日働くとして、1日平均4時間以上の時間外を60日以上続けてます。
2過労死の4つの実例
資料に過労死した教員の実例が掲載されていたので、引用してみます。
前半2つが脳・心臓疾患で、後半が精神疾患(うつ)の例です。
実例①:40代中学校教員の男性
この方は、解離性大動脈瘤破裂で亡くなっています。
- 吹奏楽部の指導に力を入れ、休みが取れていなかった
- 学校行事で指揮をしていたところ倒れる
- 発症1ヶ月以上前から月100時間の時間外労働
- 担任、委員会などを担当
つい運動部ばかり話題になりますが、吹奏楽部は隠れブラックNo.1の部活動ですよ。
実例②:50代中学校教員の男性
この方は、脳内出血になりましたが生存しています。
- 運動部の顧問をしており、土日にほぼ休みがない状態
- 大会での試合中に気分がわるくなり、病院に運ばれる
- 発症前1ヶ月以上にわたって月100時間以上の時間外労働
2日間ともつぶれます。
実例③:20代小学校教員の女性
この方は、精神疾患になり自死にいたってます。
- 保護者から指導内容について要望(クレーム)が寄せられる
- 職場でのサポートなし
保護者からのクレームか・・・。
20代で周りのサポートがないのはキツすぎるやろ。教員いじめか?
わかりません。
でも周りの先生も、自分のことで精一杯なんですよね。
後輩を救う余裕がないんですよ。
実例④:50代中学校校長の男性
この方も、うつ病になり自死にいたっています。
- 赴任してすぐに教頭が病気で不在になる
- さらに教員の産休などで業務が増加
- 会議中に体調が悪くなり帰宅し、自殺
この他にも、生徒・保護者からのクレームや暴行による精神疾患は複数の例が見られます。
あなたが過労死しないためにしてほしいこと
自立とは助けを求められること
絶対に覚えておいてほしいのは「とにかく周りに相談する」ということです。
「困ってます」と言えるということは、自分のキャパオーバーを自覚できているということ。
自分が対処できないと把握できていることが、自立への第一歩です。
秋山の初任時代は酷かった
たとえば僕は初任で担任でしたが、毎週生徒指導の先生に助けてもらってました。
ADHDの子もいたので、ガチで毎週トラブルが起きてました。
ぐっ・・・古傷をえぐらないでください。
初任は余裕がないんですよ・・・。
もし周りの先生がいなかったら、確実に学級崩壊してました。
自立した教員になる=自分でなんでも解決できること、ではありません。
「助けてください!」と言えることが「自立」なんです。
責任感が強い人は要注意
マジメな人ほど「他の先生に申し訳ない」と助けを言えません。
しかし、初期段階で相談されたほうがカバーしやすいのが事実です。
過労死しそうなほど働いて途中でギブアップされるほうが迷惑かと。
- 仕事も病気も初期治療がいちばん助かりやすい
これを覚えておくと、発想が変えられます。
どうしても怖いなら非常勤講師からはじめてみよう。
非常勤講師(授業アルバイト)から始めると、責任が軽い状態で働けます。
- 授業だけを担当する講師
- 担任や部活動は担当しない
- 教育委員会に登録すると連絡がきて勤務先がきまる
たとえば東京都ならこのページから申し込めます。
とはいえここ数年、教員採用試験の倍率が低いのはご存じですよね。
あせらなくても、教諭(正規の教員)になるチャンスはたくさんあります。
いきなり教諭はこわいかも・・・という人は、非常勤講師からスタートするのもアリかと。