- 30代後半から転職なんて遅くないだろうか?
- 公立から私立へ行くメリットは?
- 私立ならブラック労働から解放される?
先日、下記のツイートをしました。
30代、公立の先生には私学転職をおすすめします。
・免許と経験を活かせる
・時間を生み出だしやすい
・収入が公立より増やせる
・もしもダメでも戻れる
新卒じゃないからこそ、メリットだらけ。
実行するかは別として、40歳になる前にいちど検討すべきかと。
僕が公立中教員を辞めようと決めたのが35歳の夏。もはやアラフォーですね。
30代後半からの転職なので、かなり不安がありました。
いろいろと検討を重ねた結果「私学への転職がベスト」と判断したのですが、その理由について解説していきますね。
ちなみに耳で聞きたい方は、YouTube動画版でどうぞ。
30代の転職先に「私学教員」をオススメする3つの理由
結論はツイートにもありましたが、次の通り。
- 免許と経験が活かせる
- 時間を生み出しやすい
- もしダメでも戻れる
解説します。
私立教員のすすめ①:免許と経験を活かせる
30代後半で異業種へ転職すると、ほぼ間違いなく収入がダウンします。
教員は市場価値の高いスキルを持っていません。あるのは汎用性の高いスキルばかりです。
- プレゼンテーション能力
- 人間関係をつなぐコミュニケーションスキル
- リーダーとしてのマネジメントスキル
- 報告書などの文章作成スキル
- 根回しスキル
こういったスキルは、スペシャリストとしての専門性と併せることが価値が発揮されます。
単独では評価されないんですよね。
しかし、教員から教員への転職であれば問題ありません。
私立へ来てみてわかったのですが、公立と仕事内容はほぼかわりません。変わるのは生徒募集ぐらいですね。
そして時給で考えても、教員を続けるほうが明らかに高いのです。
ちなみに、Indeedでサクッと検索してみたら次の求人が出てきました。
時給2,400~4,200円です。一般的な仕事でこの値段はありえませんから、やはり教員免許の強みは生かすべきです。
私立教員のすすめ②:時間を生み出しやすい
僕は公立中から私立高校へ来たので、生徒指導に関わる時間が減りました。
トラブルがあれば生徒指導課へ連れて行き、訓戒や停学などの処分が決まります。
中学のように放課後に事情を聞いてトラブル解決…というプロセスがかなり僕の手から離れたんですよね。
おかげで放課後が潰れることはほぼありません。
採用試験で予告ができる
しかも教員採用試験のときに「進路指導に注力します」と宣言したので、進路の業務以外を担当することもありません。
公立では「みんなで負担する」が当たり前でしたが、私立は「担当者が担当する」という雰囲気。
おかげで、自分の不得意な仕事をしていないのです。
こうやってポジションを取ることで、時間を生み出すことができます。
生み出した時間を複業にあてる
ちなみに生み出した時間を使って、複業をしています。
このブログもそうですが、私学転職の全てをまとめたnoteを作成したり、せどり、Webライターと色々なことにチャレンジできています。
教員としての収入は公立時代とほぼ変わっていませんが、複業のおかげで年収は80万円近く上がっていますよ。
私立教員のすすめ③:もし転職に失敗しても戻れる
もし私立転職がまったくうまくいかず、失敗に終わったとしても大丈夫です。公立に戻れます。
15年前であれば、一度やめた裏切り者を再び採用することはしないでしょう。
しかし今は倍率2~3倍があたりまえ。
元教育委員会の校長先生に聞いてみた
僕の勤める私立高校に元教育委員会の先生がいます。
いわく、「人が足りなさすぎて、裏切り者とか言ってられる場合じゃないよ。」とのこと。
「即戦力ならなおさら欲しい。講師すら足りていないんだから。」とおっしゃってました。
僕の自治体では、5年以上の教員経験があれば採用試験でのペーパーテスト(教養科目)は免除となります。
きっとあなたの自治体でも教員経験者用の採用試験枠があるはずですよ。
この枠を使えば、ふたたび公務員に戻ることも難しくない時代です。
これだけリスクが減った状態で転職にチャレンジできるのですから、挑戦しないほうがリスクだと思いませんか。
番外編:私立教員になって毎日定時退勤です【転職成功】
もう一つお伝えしたいのが、転職してからずっと定時退勤できているという事実です。
実は部活動顧問を担当していないんですよね。
部活が強い私立は専門の教員がいる
僕はスポーツが強い私立高校を選んだので、顧問の先生はスペシャリストばかり。
おかげで単発の部活動引率しかしておらず、平日は定時になったら職員室を出ています。
校務分掌の希望調査にも「部活動は希望しません」と書いています。
管理職に良いイメージはもたれないでしょうが、部活をしに転職したわけではないので遠慮はしません。
僕は「自分で稼ぐ力を手に入れる」ために私立に来たのです。
30代後半までに教員を辞めたくなる5つの理由
教員から転職したくなる理由は人によってさまざまです。
とはいえ、教員が抱えるストレスは僕もひととおり経験しているので、対処法とともに言語化しておきます。
理由①:教師と子育ての両立が無理ゲー
僕は社畜脳の持ち主なので、年間360日は出勤していました。
休日出勤の半分以上は部活動の練習や試合があるためです。
未経験ながらサッカー部とソフトテニス部の顧問を担当し、全国大会出場も果たしたんですよね。
その結果なにを得たかというと「崩壊寸前の家庭」でした。
- 増える自腹と、減っていく家族の笑顔
我が家もまさしくこういう状態だったんですよね。
教員の善意だけでなりたっている部活動システムがなくならない限り、僕は公立教員に戻ることはありません。
理由②:出世するほどハードモードへ
教員の中でも、教頭先生は飛び抜けてブラックな役職です。
誰よりも早く学校に来て、一番遅く帰る…という状況があなたの学校でもありませんか?
教員の出世コースは、以下が一般的です。
学年をまとめる役割です。早い人で35歳前後から。
学校の運営を担う役割。時間割や行事を調整していく激務。
職員室の担任。一番早くに出勤して、一番最後に帰る先生。激務。
現場のトップ。教育委員会を経由してなる人も多い。
最近は教員の平均年齢が低くなっており、学年をまとめるのも大変そうです。
主幹以上は書類が仕事相手
僕のイメージですが、主幹教諭と教頭はいつも難しい顔をしてパソコンとにらめっこ。
教育委員会への報告資料を作成しては修正し、また作成する…。
朝6時台に来ていたのに、帰るのは20時を過ぎてから…。
正直、15年後になりたい姿ではなかったんですよね。
教員は出世するほどブラックになるので、早めに降りることにしました。
理由③:欠員増で地獄モードへ
「周りに申し訳なくて、育休3年間フルで取得なんてできないよ…」
前任校の同僚がこう言っていたのを思い出します。
欠員が出ても、補充できる見込みはとても低いからですね…。
慶應義塾大学の佐久間亜紀教授の調査によれば、ある県で調査したところ、40人以上の欠員が補充されないまま年度末を迎えています。
- 欠員は5月1日の時点で43人、9月1日で89人、1月8日で61人
- 埋められたとしても非常勤=校務分掌や部活は担当なし
- 正規教諭や常勤講師にシワ寄せがいく
この欠員分は、残っている先生でなんとかするしかありません。
当然ですが手当もありませんので、ただ負担がのしかかってくるだけなんですよね。
採用試験の低倍率化によって講師も減っていきますし、今後はますます欠員が補充できなくなっていくでしょう。
そんな中で教員の”使い捨て”が加速していくのは目に見えています。
文句を言っても変わらないなら、自分で環境を変えるしかないんですよね。
附属がある私立は教員不足に強かった
とはいえ「私立だって教員が足りていないんじゃないの?」と思うかもしれません。
しかし、現在勤めている私立高校は附属学校がいくつかあり、不足教員が出たら異動してきます。
教員が足りなくなる事態にはおちいっていませんね。
「附属学校があること」は僕が私立を探すときに意識したポイントでもあります。いわゆる潰れにくいからです。
勤務校を自分で選べるのも私立のメリットだと思います。
理由④:教員定年後に稼ぐスキルがない
教員は学校がなければ働けません。学校が消えたら無職になります。
これが教員個人でお金を稼ぐのが難しい理由ですね。
30年後、65歳で定年を迎えた教員がどうやって働くのでしょうか。残りの寿命は年金で悠々自適…なんて、今の65歳でも危ういですし。
ぶっちゃけ、再任用しか選べなくなると思うんです。
とはいえ、65歳で10代と勝負はキツいですよ…だから、個人で稼ぐスキルが必須になります。
「先生」という肩書きがなくても稼げるスキルを身につけたい。
そう考えて僕は、時間を生み出せる私立に転職したわけです。
理由⑤:公立学校は福祉施設化する
コロナ禍ではっきりしたのは、学校を「託児所」として考えている保護者がいることです。
僕が荒れた中学校にいたとき、部活動を土日とも休みにしたら保護者からクレームが来たんですよね。
「土日とも休みにするなんて、子どもが遊び歩くからやめてくれ」というもの。これマジですから。
部活動=子どもの無料託児所だと考えているんですよね。
「部活をしない=悪いことをする」という思想は、教員のなかでも”あるある”やな。
部活は子どもの自由時間を奪うためのものではないんですよね…。
しかも顧問は時給300円くらいでやってますからね。
こんな考え方をする人はごく一部だと思っていましたが、コロナ禍の休校時には当たり前に言われました。
「親は仕事だから、誰も見てくれる人がいない」「休校でも子どもは預かってくれ」と。
もちろん預け先がなくて困るのは理解できますが、学校は本来託児所としての機能はありません。
先生1人で40人を見られるのは、一斉授業をしているから。
自由に動かれたら、安全は確保できません。
それでも教育委員会から指示があると、やらざるを得ないわけです。
こういう状況はこれからも加速するでしょう。一度託児所の役割ができると認知されたのだから…。
僕はそうなる前に辞めました。だって、学習指導をしたくて教員になったのですから。
30代で公立教員から転職するときの不安要素と対処法
30代後半の転職には、不安要素が多くありますよね。
- そもそも私立学校の求人はあるのか
- 収入は減ってしまうのか
- 公務員のような安定はあるのか?
- 土日の休日は確保できるのか?
どれも僕が実際に悩んだことなので、対処法とともにお伝えしていきます。
そもそも私立学校の求人はあるのか
私立学校は公立と違い、毎年必ず募集があるわけではありません。
退職する人がいなければ採用する必要がないからですね。
なのであなたが転職を考えはじめたとき、最初にすべきなのは情報のチェックだと思います。
私立学校の職員募集について知ることができるおもな方法は次の2つ。
- 求人サイト (教員採用.jpなど)
- 学校のホームページに募集掲載
僕は近くの学校のホームページを全てチェックしてました。求人サイトよりも更新が早いですからね。
私立の求人は10月〜2月が狙い目
時期は10〜2月ごろが多いようです。10月に公立採用試験の結果が出るので、そのあと応募してくる人が多いからです。
ホームページだけでは待遇面の情報が詳しくわからないので、直接電話するのもおすすめですよ。
僕の場合、同じ自治体の私立高校全部に電話をかけてたくさん質問しました。
- 私立募集はタイミングが勝負
- 求人サイト、学校のホームページを確認
- 採用試験の合格発表が終わる10月ごろ〜が狙い目
- 待遇については必ず電話で質問
このあたりは、僕の私立転職の全てをまとめたnoteにも詳しく書いてあります。
実際に応募した自己PRの書類なども載せてます。
公立教員を辞めたら収入はダウンするのか
結論、しっかり選べば収入ダウンどころかアップします。
それは複業ができるようになったからです。公務員は許可をもらえばできますが、不動産や農業、文筆業以外はすんなり許可されないようです。
- 2019年・・・教員収入 約470万
- 2021年・・・教員収入 約480万+複業約90万=570万
2年で100万円の年収アップを達成しています。
公立の教員は「定額働かせ放題」と言われており、どれだけ頑張ろうが給料は上がりません。
しかし、私立ならば時間を作ってスキルアップしながら複業することができます。
なので定年後のスキルを考えると、公立教員を続けるほうがリスクだと僕は思っています。
公立教員以外でも安定はあるのか
僕は公立教員でなくても十分安定は得られると考えています。
たしかに私立学校は、いわゆる倒産することがあり得ます。ただ、働く学校を選べば限りなくリスクを回避できます。
たとえば僕は附属学校をもっている学校を選びました。
系列校があれば潰れにくいと考えたからですね。歴史も50年以上あるため、今の所潰れることはなさそうです。
潰れても別の私立で働ける
もし仮に潰れたとしたら次の私立学校を探せば良いわけですし、本当に最悪の場合は公立を再受験することもできます。
1ヶ所で働くことを安定と考えなければ、問題なく教員を続けることはできるでしょう。
ちなみに僕は正規教員を辞めていこうと考えています。つまり副業として非常勤教員をするわけですね。
同じような働き方を選ぶ人が今後増えていくはずです。
このブログも、そういう人にとって役立つものにしていくつもりです。
土日の休日は確保できるのか
以下のツイートをご覧ください。
私立高校に転職したおかげで部活動から逃げられた。
専門の体育教員がいるから、僕が見る必要はなし。
おかげで平日は定時に職員室を出てます。
やらないことを自分で選べるのも私立の良さかと。
私立高校に転職して3年間、土日が部活動で潰れたのは1日。
平日は、顧問不在の競技があるので大会引率しこともありますが、それも2日間だけ。
98%以上部活動には関わっていないので、平日は定時退勤ですし、日曜日は毎週家族サービスです。
30代の公立教員は私立への転職を考えよう
優秀な人ほど公立学校で使い捨てられていきます。
能力が低い人ほど仕事が回ってこず、優秀な人にばかり負担がかかる。この現実を何度も見てきました。
あなたもその1人になる前に私立へ行きませんか。
時間がない!という方は、転職エージェントに求人を探してもらう方法もあります。
全てがうまくいくわけではありませんが、僕は後悔なんて1ミリもありません。
収入と家族との時間、両方を増やすことができましたからね。
僕にできてあなたにできないはずはありません。ぜひ一緒に人生を良い方向に変えていきませんか。